肝臓病の猫におすすめのキャットフード
肝臓は様々な働きをする大切な器官です。
肝臓に疾患があると体全体に影響が及びます。
ですから、肝臓の健康維持のためにふさわしいキャットフードを与える必要があります。
そのために、肝臓の機能と、猫がかかりやすい肝臓の疾患について知りましょう。
1.肝臓の働き
肝臓は1500種類以上もの働きをしていると言われています。
代表的な機能をいくつかご説明します。
・胃や小腸で吸収されたブドウ糖やビタミン、ミネラルなどの栄養素を必要になるまで貯蔵しておきます。
・貯蔵した栄養素を分解し、エネルギーとして利用できるように作り変えます。
・分解した栄養素を再び合成し、筋肉や血液などの体の組織をつくります。
・体の中に入り込んだアンモニアや食品添加物などの有害物質や毒素を分解して体に害のないものに変える解毒作用があります。
・消化液である胆汁を分泌し、脂肪の消化、吸収を助けます。
・限度はありますが、肝臓は傷や炎症が起きたり、一部切除されても、数カ月で元に戻る再生能力に優れています。
・肝臓に傷や炎症がついても、残りの正常な部分が働きを補い、肝機能の低下を防ぐ予備能力が備わっています。
(1)肝臓病は気付きづらい
肝臓が炎症を起こしても再生能力と予備能力により正常に機能することがデメリットになることがあります。
なぜなら症状が軽いうちは通常通り機能するため、かなり症状が重くなってからでないと肝臓病に気付くことが難しいからです。
肝臓病が進行していると、代謝機能や解毒機能など重要な働きが出来なくなります。
飼い主から見て症状がはっきりと出てくる頃には、もう再生能力や予備機能でも回復させることは出来ません。
2.肝臓病とは
肝臓病とは、肝臓が炎症を起こしたり、細胞が破壊されたり、脂肪が溜まることが原因で肝機能が低下してしまう病気です。
前述のとおり、再生・予備機能の働きにより、発見が難しく、悪化してしまいやすい病気です。
肝臓病になると、栄養素の分解や合成が困難になり、エネルギーとして利用したり、体の組織を作ることが出来なくなり、体重が減少します。
また、たんぱく質を分解することで発生するアンモニアを無害化できず、高アンモニア血症になる恐れがあります。
肝臓病は進行していくと完治できない状態になってしまいます。
肝臓病にかかる明確な原因をはっきりさせることは難しいですが、猫は肉や魚中心のエサの食べすぎや、肥満により肝臓病になることが多いようです。
また、心臓病など他の病気の影響やウイルス感染、人間の使う薬物の誤飲による中毒も原因としてあげられます。
猫の品種によって肝臓病にかかるリスクが異なるというデータもあります。
3.肝臓病の症状
肝機能の低下により様々な影響が及びます。
症状には以下のようなものがあります。
これらが見られる場合は肝疾患を疑い、すぐに動物病院に行きましょう。
・元気がなくなり、長い時間寝てばかりいることがあります。
・食欲不振や脱水症状に陥り、体重が減少します。
肥満の猫でも一日何も食べなくなったりします。
・発熱や嘔吐下痢の症状が出ます。
・目や耳、歯茎などに黄疸が出ます。
・腹水が溜まりお腹が膨らんでしまいます。
主な肝臓病
・急性肝炎…主にウィルスなどで肝臓が急速に炎症を引き起こすことにより発症します。
肝臓に膿が溜まったり、肉芽腫が出来てしまう病気で、黄疸が出たり嘔吐下痢などの症状が出ます。
早期に治療するなら回復しますが、放置すれば慢性肝炎に進行してしまいます。
・慢性肝炎…長期間肝臓が炎症を起こしている状態で、肝機能不全に陥ると、他の器官も機能しなくなってしまいます。
放置すると末期症状である肝硬変にまで進行してしまいます。
・肝硬変…肝臓の細胞が繊維細胞に変わってしまいます。
肝臓は正常に機能せず、食欲不振や嘔吐下痢により体重が著しく落ちてしまいます。
治癒は不可能で、薬による延命治療を行うしかないようです。
・肝リピドーシス(脂肪肝)…肝臓の脂肪の割合が非常に多くなってしまい、肝機能が低下してしまいます。
白目が黄色くなるなど黄疸が出ます。
特に肥満の猫がかかりやすいです。
食欲不振、嘔吐下痢の症状もみられます。
悪化すると意識障害を引き起こします。
・肝腫瘍…肝臓の細胞が腫瘍細胞に変化してしまい、肝臓が機能しなくなってしまいます。
おすすめのキャットフード
動物病院で適切な治療を受けながら、自宅でも療養食を与えるなどして病気治療をサポートすることが大切です。
すすめられているキャットフードはどんなものか把握しておきましょう。
・肝臓に負担をかけたり、脂肪肝の原因とならないよう、高脂肪のものは避け、低脂肪のフードを選びましょう。
・肝機能が低下しているので、添加物を上手く分解できません。
ですから、無添加のキャットフードを与えてください。
・猫にとってたんぱく質は重要ですが、肝臓病の猫はたんぱく質の分解で発生するアンモニアを無害化することが困難です。
高アンモニア血症のリスクがある高たんぱく質のキャットフードは控えましょう。
。
良質で消化性のよいたんぱく質を必要最低限含んだフードが良いでしょう。
・脂肪やたんぱく質の摂取でアンモニアが生成されることを防ぐために、適度な炭水化物を摂ることがよいでしょう。
消化に悪い穀物類ではなく、イモ類が使用されたものがおすすめです。
・亜鉛や食物繊維はアンモニアの分解や排出を促してくれるので、これらが含まれているとよいでしょう。
・たんぱく質の摂取制限と、必要なエネルギーを得るために糖質の含まれたキャットフードを与えます。
ただし、糖質の過剰摂取には気を付けましょう。
・肝疾患を患うとビタミン不足になるため、ビタミンも摂るようにしましょう。
食欲が落ち、嘔吐や下痢の症状が出ますから、1日に与える食事を数回に分けて少しずつ与えましょう。
また、新鮮な水を飲ませてあげることも大切です。
肝臓病は早期発見が難しく、進行すると完治が難しい病気です。
日頃から猫の体調をチェックし、食生活に気を付けるなら、肝臓病のリスクを下げることができるでしょう。
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