キャットフードの添加物(亜硝酸ナトリウム)
食べ物は時間が経過したり酸化すると色が茶色っぽくなってしまったり、黒ずんでしまったりします。
食べ物自体が悪くなってしまったわけではなくても、食欲がわきません。
猫は色の識別能力が高くないので、変色は気にならないでしょう。
しかし、飼い主さんが猫に与える気が失せてしまいます。
そのため、亜硝酸ナトリウムを使用して、キャットフードの発色を良くしています。
また、細菌繁殖によって食品が腐ってしまわないよう防腐剤としての役割も果たしています。
亜硝酸ナトリウムとは
亜硝酸ナトリウムは漂白剤や試薬、解毒剤として使用されるほか人間の食品(特にハムやベーコン、ソーセージといった加工肉)やペットフードにもウェットフードの添加物として多く使われ、食べ物のおいしそうな色を保ち、腐敗を防ぎます。
しかし、亜硝酸ナトリウムは劇物取締法によると劇物に指定されており、厚生労働省は使用基準を定めています。
亜硝酸ナトリウムの注意点
亜硝酸ナトリウムは過剰摂取すると動悸や血圧低下、嘔吐、メトヘモグロビン血症を引き起こす危険があります。
メトヘモグロビン血症とは、血液中に通常は1~2%程存在している酸素を運ぶ能力のないメトヘモグロビンという物質が1~2%以上に増加してしまう状態を指します。
メトヘモグロビンが15~ 20%以上に増えると、血液中の酸素が不足してしまい、皮膚や粘膜が紫や青っぽく変色してしまうチアノーゼになってしまいます。
過去に配合ミスにより基準を大きく上回る量の亜硝酸ナトリウムが含まれたフードを食べた猫がメトヘモグロビン血症を起こし死亡したケースがあります。
しかし、亜硝酸ナトリウムは使用基準内であればメトヘモグロビン血症を引き起こす危険はありません。
また、亜硝酸は肉や魚に含まれているアミンという成分と結びつくと体内でニトロソアミンという物質をつくる性質を持っています。
ニトロソアミンは体内で生成されるだけでなく、自然に存在しているもので、ごくわずかですが食べ物にも含まれています。
この物質はDNA分子の配列に異常を発生させ正常な細胞の複製を困難にするため、時としてがんを引き起こすと指摘されています。
しかし、国際がん研究機関によると、発がん性は確かにあるとはいえ、がん発症の確率が高いわけではありません。
また、最近では亜硝酸ナトリウムと共にビタミンCを食品に添加することによってニトロソアミンの生成を防げることが分かっています。
そのため、亜硝酸ナトリウムが添加されたキャットフードにはビタミンCも含まれていることがほとんどです。
ですから、劇物指定がされているとはいえ、使用基準以内ならば亜硝酸ナトリウムの危険性は低いと言えます。
亜硝酸ナトリウムの安全性
FAO/WHO合同食品添加物専門家会合(JECFA)によると亜硝酸ナトリウムの摂取と発がん性に関連があると言える証拠がないとされています。
先ほど述べたとおり、亜硝酸ナトリウム自体に発がん性はありません。
アミンに反応して生成されるニトロソアミンも発がん性が指摘されているものの発病の可能性が高いわけではありません。
ニトロソアミンはビタミンCの添加により生成されることを防げます。
そもそも、亜硝酸は野菜などの食べ物にも含まれており、特に硝酸を含む肥料によって育った野菜に多く含まれています。
また、唾液にも亜硝酸イオンが含まれています。
また、ペットフード安全法により、キャットフード1gに対し亜硝酸ナトリウムの使用量が0.1mgと定められています。
これは生涯摂取しても体に害がない量で設定されていますから、猫の身体に悪影響を及ぼすことはないでしょう。
亜硝酸ナトリウムが劇物と指定されている以上、添加物として使用する分には安全であるといくら言われても、愛猫には与えるのは怖いと思う方もいらっしゃるかもしれません。
添加物と聞くとあまり良いイメージは持てないかもしれません。
確かに、無添加のキャットフードは猫の身体を第一に考えており、安全性の高いものです。
しかし、保存料や防腐剤が含まれていないため、フードの劣化が早く、飼い主が管理を怠るとむしろ猫の健康が危険にさらされてしまいます。
そのようなことを減らすため、フードの劣化を防ぎ、食中毒の原因であり致死率の高いボツリヌス菌の増殖を抑制する働きがある亜硝酸ナトリウムを添加物として使用するキャットフードがあるのです。
もちろん、フードが劣化する前に食べきれるなら無添加のキャットフードはおすすめですから、飼い猫の好みや体調に合わせてキャットフードを選びましょう。
関連するコラムを読む